坐骨神経痛に悩む妊婦さんへ。原因と症状、効果的なセルフケアと鍼灸治療を解説
- 鍼灸院 横浜文庫
- 11月25日
- 読了時間: 13分

妊娠中の坐骨神経痛でお悩みですか? お腹が大きくなるにつれて、お尻や太ももに痛みやしびれを感じるようになり、不安を感じている方もいるかもしれません。
このページでは、妊娠中の坐骨神経痛の原因や症状、そしてご自宅でできる効果的なセルフケアの方法を分かりやすく解説します。
さらに、鍼灸治療が坐骨神経痛にどのように効果を発揮するのかについてもご紹介します。
この情報を通して、辛い痛みを和らげ、快適なマタニティライフを送るためのお手伝いをさせていただきます。
1. 妊娠中の坐骨神経痛とは?

妊娠中は、お腹が大きくなるにつれて、腰や骨盤周辺に負担がかかりやすくなります。
その結果、坐骨神経痛を発症する妊婦さんが少なくありません。
妊娠中の坐骨神経痛は、お尻から太もも、ふくらはぎ、足にかけて痛みやしびれが現れる症状です。
多くの場合、片側のみに症状が現れますが、両側に症状が出る場合もあります。
坐骨神経痛自体は病気の名前ではなく、症状の名前です。
坐骨神経は、腰から足にかけて伸びている人体で最も太くて長い神経です。
この坐骨神経が何らかの原因で圧迫されたり刺激されたりすることで、痛みやしびれなどの症状が現れます。
妊娠中は、大きくなった子宮が坐骨神経を圧迫することで、坐骨神経痛の症状を引き起こすことが多いです。
また、ホルモンバランスの変化や姿勢の変化、体重増加なども原因として考えられます。
妊娠中の坐骨神経痛は、多くの場合、出産後に自然と軽快していきます。
しかし、症状が強い場合や長引く場合は、適切なケアを行うことが大切です。セルフケアや鍼灸治療などで症状を和らげ、快適なマタニティライフを送りましょう。
1.1 坐骨神経痛と腰痛の違い
坐骨神経痛と腰痛は、どちらも妊娠中に起こりやすい症状ですが、異なる点もあります。
腰痛は、腰の部分に痛みや違和感を感じる症状です。一方、坐骨神経痛は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足にかけて痛みやしびれが現れる症状です。
腰痛は腰の筋肉や関節の炎症などが原因で起こることが多いのに対し、坐骨神経痛は坐骨神経が圧迫されることが原因で起こります。
| 坐骨神経痛 | 腰痛 |
痛みの範囲 | 腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足にかけて | 腰の部分 |
症状 | 痛み、しびれ、違和感 | 痛み、こり、違和感 |
主な原因 | 坐骨神経の圧迫 | 腰の筋肉や関節の炎症など |
1.2 妊娠中に坐骨神経痛になりやすい時期
妊娠中は、妊娠後期(特に妊娠7ヶ月~9ヶ月)に坐骨神経痛になりやすいと言われています。この時期は、お腹が大きく重くなり、子宮が坐骨神経を圧迫しやすくなるためです。
また、出産に向けて骨盤が開き始めることも、坐骨神経痛を引き起こす原因となります。
2. 妊婦が坐骨神経痛になる原因

妊娠中は、身体に様々な変化が起こり、坐骨神経痛を発症するリスクが高まります。主な原因は以下の通りです。
2.1 大きくなる子宮による圧迫
妊娠週数が進むにつれて子宮が大きくなり、骨盤内の神経や血管を圧迫します。
特に坐骨神経は、骨盤から足にかけて伸びているため、子宮の圧迫を受けやすく、坐骨神経痛を引き起こす大きな原因となります。
子宮が大きくなることで、周囲の組織や神経への圧迫が増し、坐骨神経痛の症状が現れやすくなります。
2.2 ホルモンバランスの変化
妊娠中は、リラキシンというホルモンが分泌されます。
リラキシンは、出産に備えて骨盤の靭帯や関節を緩める働きがありますが、同時に骨盤の安定性を低下させるため、坐骨神経痛のリスクを高めます。
リラキシンの分泌により骨盤が不安定になることで、坐骨神経への負担が増加し、痛みやしびれが出やすくなります。
2.3 姿勢の変化
お腹が大きくなるにつれて、バランスを保つために姿勢が変わります。
反り腰になったり、猫背になったりすることで、腰や骨盤に負担がかかり、坐骨神経痛を引き起こしやすくなります。
姿勢の変化は、腰や骨盤への負担を増大させ、坐骨神経を圧迫する原因となります。
2.4 体重増加
妊娠中は、胎児の成長や羊水、血液量の増加などにより体重が増加します。
体重増加は、腰や骨盤への負担を増加させ、坐骨神経痛の症状を悪化させる要因となります。
体重の増加は、腰や骨盤への負担を大きくし、坐骨神経痛の痛みやしびれを悪化させる可能性があります。
原因 | 詳細 |
大きくなる子宮による圧迫 | 子宮の増大により、坐骨神経が物理的に圧迫される。 |
ホルモンバランスの変化(リラキシン) | リラキシンにより骨盤の靭帯が緩み、坐骨神経が不安定になる。 |
姿勢の変化 | お腹の大きさに伴う姿勢の変化により、腰や骨盤に負担がかかり、坐骨神経を圧迫する。 |
体重増加 | 体重増加により腰や骨盤への負担が増し、坐骨神経痛を悪化させる。 |
これらの要因が複雑に絡み合い、坐骨神経痛を引き起こします。妊娠中の坐骨神経痛は、自然に治癒することもありますが、症状が重い場合は、適切なケアを行うことが大切です。
3. 妊娠中の坐骨神経痛の症状

妊娠中に坐骨神経痛を発症すると、どのような症状が現れるのでしょうか。
症状を理解することで、適切な対処法を選ぶことができます。
坐骨神経痛の症状は人それぞれ異なり、痛みの程度も軽いものから激しいものまで様々です。代表的な症状を以下にまとめました。
3.1 お尻や太ももの痛み
坐骨神経痛の最も特徴的な症状は、お尻から太ももの裏側にかけての痛みです。
鋭い痛みや鈍い痛み、電気が走るような痛みなど、痛みの種類も様々です。
また、片側だけに痛みが出る場合もあれば、両側に痛みが出る場合もあります。
痛みは、じっとしているときよりも、動いたとき、特に歩いたり、立ち上がったりしたときに強くなる傾向があります。
また、長時間同じ姿勢で座っていると痛みが増すこともあります。症状が重い場合、くしゃみや咳などでも痛みが悪化することがあります。
3.2 足のしびれ
坐骨神経痛では、痛みだけでなく、足にしびれが生じることもあります。
しびれの範囲は、太ももからふくらはぎ、足先まで様々です。
ピリピリとした感覚や、感覚が鈍くなる、冷たくなるといった症状が現れることもあります。
しびれは、常に感じられる場合もあれば、特定の姿勢や動作によって引き起こされる場合もあります。
また、痛みと同様に、片側だけに症状が現れる場合と、両側に現れる場合があります。
3.3 痛みによる歩行困難
坐骨神経痛の症状が重い場合、痛みやしびれによって歩行が困難になることがあります。
痛みのため足を地面に着けることができなくなったり、歩行中に足がもつれて転倒する危険性が高まったりします。
日常生活にも支障をきたし、家事や育児、仕事などが思うようにできなくなることもあります。
このような状態になった場合は、無理をせず、安静にすることが大切です。
症状が改善しない場合は、専門家に相談しましょう。
症状 | 説明 |
お尻や太ももの痛み | 鋭い痛み、鈍い痛み、電気が走るような痛みなど様々。片側、もしくは両側に起こる。 |
足のしびれ | 太ももからふくらはぎ、足先まで様々なしびれ。ピリピリとした感覚、感覚の麻痺、冷感なども。片側、もしくは両側に起こる。 |
痛みによる歩行困難 | 痛みやしびれの悪化により、歩行が困難になることも。 |
これらの症状は、他の病気でも起こりうるため、自己判断せずに、医療機関に相談することが大切です。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんへの影響も考慮しながら、適切な治療法を選択する必要があります。
4. 妊婦さんのための坐骨神経痛セルフケア

妊娠中の坐骨神経痛の痛みやしびれは、本当につらいものですよね。
でも、ご安心ください。安全かつ効果的なセルフケアの方法があります。
ご紹介するケアを実践して、少しでも楽になっていただければ幸いです。
4.1 ストレッチ
妊娠中は、お腹に負担をかけない、安全なストレッチを行うことが大切です。
無理のない範囲で、ゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。痛みが増す場合は、すぐに中止してください。
4.1.1 梨状筋ストレッチ
梨状筋は、お尻の深部にある筋肉で、坐骨神経を圧迫することがあります。このストレッチは、梨状筋の緊張を和らげるのに役立ちます。
仰向けになり、両膝を立てます。
右足首を左膝の上に乗せます。
左太ももの裏側を持ち、ゆっくりと胸の方へ引き寄せます。
お尻に伸びを感じたら、その姿勢を20~30秒ほどキープします。
反対側も同様に行います。
4.1.2 ハムストリングストレッチ
ハムストリングは、太ももの裏側にある筋肉です。
ここが硬くなると、骨盤が後傾し、坐骨神経を圧迫しやすくなります。以下のストレッチで、ハムストリングの柔軟性を高めましょう。
床に座り、片方の足を伸ばします。
伸ばした足のつま先に向けて、上体をゆっくりと倒していきます。
太ももの裏側に伸びを感じるところで、20~30秒ほどキープします。
反対側の足も同様に行います。
4.2 温罨法・冷罨法
温罨法と冷罨法は、痛みの種類によって使い分けると効果的です。
温罨法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
一方、冷罨法は、炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。
方法 | 効果 | 使用方法 |
温罨法 | 血行促進、筋肉の緩和 | 蒸しタオルやカイロなどを患部に当てます。低温やけどに注意し、温かすぎると感じたらすぐに外しましょう。 |
冷罨法 | 炎症抑制、痛み軽減 | 保冷剤や氷嚢などをタオルに包み、患部に当てます。長時間当て続けると凍傷の恐れがあるので、15~20分程度を目安にしましょう。 |
どちらの方法が自分に合っているか、試しながら判断してみてください。
痛みが強い時は、まず冷罨法を試すのがおすすめです。
また、妊娠中は、お腹を冷やさないように特に注意してください。
4.3 正しい姿勢
正しい姿勢を保つことは、坐骨神経痛の予防と改善にとても重要です。
● 立っている時は、背筋を伸ばし、お腹を引っ込め、お尻を締めるように意識しましょう。
● 座っている時は、浅く腰掛けず、深く椅子に腰掛け、背もたれに寄りかかりましょう。足を組むのは避け、床に足裏全体を付けましょう。クッションやタオルなどを腰に当てて支えるのも効果的です。
● 寝る時は、横向きになり、膝を軽く曲げ、抱き枕などを抱えると、腰への負担を軽減できます。
日常の何気ない動作でも、姿勢に気を付けることで、坐骨神経への負担を軽減することができます。
5. 坐骨神経痛と鍼灸治療

妊娠中の坐骨神経痛に悩まされている方の中には、鍼灸治療に興味を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
鍼灸治療は、東洋医学に基づいた伝統的な治療法で、身体に鍼を刺したり、もぐさを燃やして温めたりすることで、痛みやしびれなどの症状を緩和する効果が期待できます。
5.1 鍼灸治療の効果
鍼灸治療は、坐骨神経痛の原因となる筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、痛みやしびれを軽減する効果が期待できます。
また、鍼灸治療は、身体の自然治癒力を高める効果もあるため、坐骨神経痛の根本的な改善にも繋がると考えられています。
妊娠中は、薬の服用が制限される場合もあるため、鍼灸治療は、薬を使わずに坐骨神経痛をケアできる方法として注目されています。
ただし、鍼灸治療は、すべての方に効果があるとは限りません。また、妊娠中は、身体の状態が変化しやすいため、鍼灸治療を受ける際には、必ず医師や鍼灸師に相談するようにしてください。
効果 | メカニズム |
疼痛緩和 | 筋肉の緊張緩和、血行促進、エンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌促進 |
しびれの軽減 | 血行促進による神経機能の改善 |
リラックス効果 | 自律神経の調整作用 |
妊娠中の坐骨神経痛に対する鍼灸治療は、安定期に入ってから行うことが一般的です。 施術を受ける際は、妊娠中であることを必ず伝え、体調に合わせて施術内容を調整してもらうようにしましょう。 鍼灸治療の効果や安全性については、様々な研究が行われていますが、まだ十分に解明されていない部分もあります。 疑問や不安がある場合は、医師や鍼灸師に相談し、納得した上で治療を受けるようにしてください。
6. 坐骨神経痛を悪化させないための予防策

妊娠中の坐骨神経痛は、適切な予防策を行うことで悪化のリスクを軽減できます。
快適なマタニティライフを送るためにも、今からできる予防策を実践してみましょう。
6.1 姿勢に気を付ける
正しい姿勢を維持することは、坐骨神経への負担を軽減する上で非常に重要です。
猫背は腰椎に負担をかけ、坐骨神経痛を悪化させる可能性があります。
立っているときは、お腹を少し引っ込め、背筋を伸ばし、顎を引くように意識しましょう。
座っているときは、背もたれのある椅子を選び、深く腰掛けて背筋を伸ばすように心がけてください。
足を組む癖がある方は、足を組まないように注意しましょう。
6.2 適度な運動を行う
適度な運動は、血行を促進し、筋肉の柔軟性を維持するのに役立ちます。
ウォーキングやマタニティヨガ、水中ウォーキングなど、妊婦さんでも安全に行える運動を取り入れましょう。
ただし、激しい運動や無理な姿勢は避けてください。
運動前に医師や助産師に相談し、自身の体調に合った運動を行うようにしましょう。
6.3 体重管理を心がける
急激な体重増加は、腰椎への負担を増大させ、坐骨神経痛を悪化させる要因となります。
バランスの良い食事を心がけ、適正な体重を維持するようにしましょう。体重管理については、医師や助産師に相談し、適切な指導を受けることが大切です。
6.4 身体を冷やさない
身体が冷えると、血行が悪くなり、筋肉が緊張しやすくなります。
これは坐骨神経痛の症状を悪化させる可能性があります。特に、お腹や腰周りを冷やさないように注意しましょう。
夏場でも冷房の効きすぎには注意し、必要に応じて腹巻きやレッグウォーマーなどを活用しましょう。
冬場は厚着をする、カイロを使うなどして身体を温めるように心がけてください。
6.5 重いものを持ち上げない
重いものを持ち上げると、腰椎に大きな負担がかかり、坐骨神経痛を悪化させる可能性があります。
できるだけ重いものは持ち上げないようにし、どうしても持ち上げなければならない場合は、膝を曲げて腰を落とすなど、正しい姿勢で持ち上げるように心がけましょう。
また、荷物を持つ際は、両手に均等に重さを分散させるようにしてください。
6.6 休養をしっかりとる
十分な休養は、身体の回復を促し、坐骨神経痛の悪化を防ぐために重要です。
疲れたと感じたら、無理をせずに横になるなどして身体を休めましょう。睡眠時間をしっかりと確保することも大切です。
横向きで寝る場合は、抱き枕などを活用し、身体への負担を軽減するようにしましょう。
6.7 日常生活での工夫
場面 | 工夫 |
床からの立ち上がり | 横向きになり、身体を起こしてから立ち上がる |
靴下を履く | 椅子に座って履く、または靴下を履くための補助具を使用する |
家事 | 無理な姿勢を避け、こまめに休憩を取る |
これらの予防策を意識することで、妊娠中の坐骨神経痛の悪化を防ぎ、快適なマタニティライフを送ることに繋がります。
少しでも違和感を感じたら、我慢せずに医師や助産師に相談するようにしましょう。
7. まとめ

妊娠中の坐骨神経痛は、大きくなる子宮による圧迫やホルモンバランスの変化、姿勢の変化、体重増加などが原因で起こることがあります。
お尻や太ももの痛み、足のしびれといった症状が現れ、日常生活に支障をきたす場合もあります。
セルフケアとして、ストレッチや温罨法・冷罨法、正しい姿勢を保つことが有効です。
また、鍼灸治療も症状の緩和に効果が期待できます。坐骨神経痛を悪化させないためには、普段から正しい姿勢を意識し、適度な運動を行うことが大切です。
つらい症状でお困りの際は、自己判断せず、医療機関に相談しましょう。
お悩みの方は当院へご相談ください。




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