椎間板ヘルニアの治療法|自宅でできるセルフケアと鍼灸の効果的な組み合わせ
- 鍼灸院 横浜文庫
- 5月30日
- 読了時間: 14分

つらい椎間板ヘルニアの痛み。どうすれば楽になるのか、悩んでいませんか?
このページでは、椎間板ヘルニアの症状や原因を分かりやすく解説し、効果的な治療法として自宅でできるセルフケアと鍼灸に着目しています。特に、椎間板ヘルニアに効果的なストレッチの種類や日常生活での注意点、鍼灸治療のメカニズムやメリット・デメリットなどを詳しくご紹介します。
セルフケアと鍼灸を組み合わせることで、相乗効果が期待できることをご存知ですか? 具体的な組み合わせ例もご紹介することで、ご自身に合ったケア方法を見つけるためのお手伝いをします。さらに、よくある質問にもお答えしているので、椎間板ヘルニアの治療に関する疑問を解消し、痛みを軽減するための具体的な方法を理解することができます。
1. 椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板の一部が飛び出して、周囲の神経を圧迫することで痛みやしびれなどの症状を引き起こす疾患です。主に腰や首に発生しやすく、日常生活に大きな支障をきたす場合もあります。
1.1 椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニアの症状は、ヘルニアが発生した部位や神経の圧迫の程度によって様々です。代表的な症状としては、腰や首の痛み、脚やお尻、腕や手のしびれ、感覚の鈍化、筋力低下などが挙げられます。 また、くしゃみや咳をした際に痛みが強くなることもあります。症状が進行すると、排尿・排便障害が起こる場合もありますので、注意が必要です。
発生部位 | 主な症状 |
腰椎 | 腰痛、脚のしびれ、お尻の痛み、足の感覚の鈍化、筋力低下、間欠性跛行(歩行時の痛みやしびれ) |
頸椎 | 首の痛み、肩こり、腕のしびれ、手の感覚の鈍化、筋力低下、頭痛 |
1.2 椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアの主な原因は、加齢による椎間板の退行性変化です。椎間板は年齢を重ねるごとに水分が失われ、弾力性が低下していきます。この状態になると、ちょっとした衝撃や負担で椎間板が損傷しやすく、ヘルニアへと発展しやすくなります。
その他にも、遺伝的な要因、姿勢の悪さ、重いものを持ち上げるなどの急激な負荷、長時間のデスクワークや運転など、同じ姿勢を続けること、肥満なども原因として考えられます。また、喫煙も椎間板への栄養供給を阻害するため、ヘルニアのリスクを高める要因となります。
2. 椎間板ヘルニアの治療法

椎間板ヘルニアの治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。症状の程度や経過、患者さんの状態に合わせて適切な治療法が選択されます。
2.1 保存療法
多くの椎間板ヘルニアは、保存療法で改善します。保存療法は、手術を行わずに痛みや痺れなどの症状を和らげ、日常生活への支障を軽減することを目的としています。
2.1.1 薬物療法
痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤、消炎鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬などが用いられます。患者さんの症状に合わせて、適切な薬剤が処方されます。
2.1.2 理学療法
理学療法では、温熱療法、電気刺激療法など様々な物理療法を用いて、痛みや炎症を軽減し、筋肉の緊張を和らげます。また、運動療法によって、体幹や背筋の強化、柔軟性の向上を目指します。理学療法士による指導のもと、患者さんの状態に合わせたプログラムが作成されます。
2.2 手術療法
保存療法で効果が得られない場合や、症状が重症の場合には、手術療法が検討されます。手術療法にはいくつかの種類があり、患者さんの状態やヘルニアの部位、程度によって適切な手術法が選択されます。
手術の種類 | 概要 |
椎間板ヘルニア摘出術 | 飛び出した椎間板の一部または全部を切除する手術です。 |
内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術 | 小さな切開部から内視鏡を挿入し、ヘルニアを摘出する手術です。身体への負担が少ないのが特徴です。 |
レーザー椎間板減圧術 | レーザーを用いて椎間板内の水分を蒸発させ、椎間板の体積を減少させることで神経への圧迫を軽減する手術です。 |
人工椎間板置換術 | 損傷した椎間板を人工椎間板に置き換える手術です。 |
手術療法は、痛みや痺れの軽減、神経の圧迫の解除などを目的として行われます。術後のリハビリテーションも重要であり、日常生活への復帰をスムーズに進めるために、医師や理学療法士の指導のもと、適切なリハビリテーションプログラムを実施することが大切です。
3. 自宅でできる椎間板ヘルニアのセルフケア

椎間板ヘルニアの痛みやしびれは、日常生活に大きな支障をきたします。症状を和らげ、再発を予防するためには、自宅でのセルフケアが重要です。ここでは、椎間板ヘルニアに効果的なセルフケアの方法を、ストレッチと日常生活の注意点に分けてご紹介します。
3.1 ストレッチ
ストレッチは、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、椎間板ヘルニアの症状緩和に役立ちます。痛みを感じない範囲で、無理なく行うことが大切です。呼吸を止めずに、ゆっくりと行いましょう。
3.1.1 椎間板ヘルニアに効果的なストレッチの種類
椎間板ヘルニアに効果的なストレッチには、次のようなものがあります。
ストレッチの種類 | 効果 | 方法 |
ハムストリングスのストレッチ | 太ももの裏側の筋肉を伸ばし、腰への負担を軽減 | 仰向けに寝て、片方の足を持ち上げ、膝を伸ばしたままタオルなどを足にかけ、ゆっくりと手前に引きます。 |
大殿筋のストレッチ | お尻の筋肉を伸ばし、骨盤の歪みを整える | 仰向けに寝て、片方の足を曲げ、反対側の太ももに乗せます。そのまま両手で下の足の太ももを抱え、胸に引き寄せます。 |
腸腰筋のストレッチ | 股関節の前面の筋肉を伸ばし、姿勢を改善 | 片足を大きく前に出し、後ろ足の膝を床につけます。前の足の太ももが床と平行になるようにし、骨盤を前に押し出すようにします。 |
梨状筋のストレッチ | お尻の深部の筋肉を伸ばし、坐骨神経痛の緩和に効果的 | 仰向けに寝て、片方の足を曲げ、反対側の太ももに乗せます。そのまま両手で下の足の膝を押し、床に近づけます。 |
3.1.2 ストレッチの注意点
● 痛みがある場合は、すぐに中止してください。
● 反動をつけずに、ゆっくりと呼吸をしながら行うようにしましょう。
● 毎日継続して行うことが大切です。
● 入浴後など、体が温まっている時に行うと効果的です。
3.2 日常生活での注意点
日常生活における姿勢や動作は、椎間板ヘルニアの症状に大きく影響します。正しい姿勢を意識し、腰への負担を軽減することが重要です。
3.2.1 正しい姿勢
立っている時は、背筋を伸ばし、お腹に力を入れるように意識しましょう。座っている時は、浅く腰掛けず、深く座り、背もたれに寄りかかるようにします。猫背にならないように注意し、パソコン作業をする際は、モニターの高さを目の位置に合わせるなど、工夫してみましょう。
3.2.2 適切な運動
激しい運動は避け、ウォーキングや水中ウォーキングなどの軽い運動を行いましょう。腰への負担が少ない運動を選び、自分のペースで無理なく続けることが大切です。痛みがある場合は、運動を中止し、安静にしてください。
3.2.3 睡眠時の姿勢
仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションなどを置き、膝を軽く曲げると、腰への負担が軽減されます。横向きで寝る場合は、抱き枕などを抱え、膝を軽く曲げると良いでしょう。自分に合った寝具を選び、質の良い睡眠を心がけましょう。硬すぎるマットレスや柔らかすぎるマットレスは、腰に負担がかかるため避けるべきです。
4. 鍼灸治療で椎間板ヘルニアを改善

慢性的な腰痛や足の痺れに悩まされている方にとって、鍼灸治療は選択肢の一つとなるかもしれません。古くから伝わる東洋医学に基づく鍼灸治療は、椎間板ヘルニアの症状緩和に効果が期待できるとされています。
ここでは、鍼灸が椎間板ヘルニアにどのように作用するのか、そのメカニズムやメリット・デメリットについて詳しく解説します。
4.1 鍼灸が椎間板ヘルニアに効果的なメカニズム
鍼灸治療は、身体に鍼を刺したり灸で温めたりすることで、筋肉の緊張を緩和し、血行を促進します。椎間板ヘルニアによる痛みや痺れは、炎症や神経の圧迫によって引き起こされます。
鍼灸治療はこの炎症を抑え、神経への圧迫を軽減することで症状の改善を促すと考えられています。また、エンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌を促進する効果も期待できます。トリガーポイントと呼ばれる痛みの引き金となる筋肉の硬結に鍼を刺すことで、より効果的に痛みを緩和することも可能です。
4.2 鍼灸治療のメリット・デメリット
鍼灸治療には、薬物療法のような副作用の心配が少ないというメリットがあります。また、身体への負担も比較的軽く、他の治療法と併用しやすい点も魅力です。しかし、鍼灸治療の効果には個人差があり、すべての人に効果があるとは限りません。また、施術を受ける際に多少の痛みを伴う場合もあります。
メリット | デメリット |
薬物療法のような副作用が少ない | 効果に個人差がある |
身体への負担が少ない | 施術に多少の痛みを伴う場合がある |
他の治療法と併用しやすい | 適切な施術を受けるためには、経験豊富な施術者を選ぶ必要がある |
自然治癒力を高める効果が期待できる |
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リラックス効果が得られる |
|
鍼灸治療の効果を最大限に引き出すためには、施術を受ける前に、しっかりと相談し、自分の症状に合った治療法を選択するようにしましょう。
5. セルフケアと鍼灸の併用で効果を高める

椎間板ヘルニアの症状緩和には、セルフケアと鍼灸を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。それぞれのメリットを活かし、デメリットを補い合うことで、より効果的な治療を目指せます。
5.1 セルフケアと鍼灸を組み合わせるメリット
セルフケアは、手軽に継続できる点が大きなメリットです。毎日行うことで、症状の悪化を防ぎ、痛みの軽減に繋がります。一方、鍼灸は、専門家による施術のため、より深いレベルでの症状改善が期待できます。
セルフケアだけでは届かない深層の筋肉や神経にアプローチすることで、痛みの根本原因に働きかけます。この二つを組み合わせることで、セルフケアの効果を高め、鍼灸の効果をより持続させることが可能になります。
項目 | セルフケア | 鍼灸 | 併用 |
費用 | 安価 | やや高価 | バランスが良い |
時間 | いつでも可能 | 施術時間が必要 | 柔軟な対応が可能 |
効果 | 緩やか | 比較的高い | 相乗効果で高い効果 |
持続性 | 継続が必要 | 比較的持続する | 持続性向上 |
5.2 具体的な組み合わせ例
具体的な組み合わせ例としては、朝起きた時や就寝前に、セルフストレッチを行い、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。そして、週に1~2回程度、鍼灸治療を受けることで、より深いレベルでの筋肉の緩和、神経の調整を図ります。
5.2.1 ストレッチと鍼灸の組み合わせ
鍼灸治療を受けた後に、教えてもらったストレッチを行うことで、治療効果の持続性を高めることができます。また、日頃からストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を保ち、鍼灸治療の効果を高めることができます。ストレッチの種類としては、ハムストリングスや股関節周りのストレッチが効果的です。これらの筋肉は、椎間板ヘルニアに大きく関与しているため、重点的に行うと良いでしょう。
5.2.2 日常生活の注意点と鍼灸の組み合わせ
鍼灸治療の効果を最大限に引き出すためには、日常生活での注意点を守ることが重要です。正しい姿勢を意識し、重いものを持ち上げる際は腰に負担をかけないようにしましょう。また、適度な運動を行い、腹筋や背筋を鍛えることで、腰回りの筋肉を強化し、椎間板への負担を軽減できます。
睡眠時には、仰向けで寝るか、横向きで寝る場合は膝の間にクッションを挟むなど、腰に負担がかからない姿勢を心がけましょう。これらの日常生活の注意点と鍼灸治療を組み合わせることで、より効果的に椎間板ヘルニアの症状を改善することができます。
6. 椎間板ヘルニア治療に関するよくある質問

椎間板ヘルニアの治療に関して、患者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
6.1 鍼灸治療について
6.1.1 鍼灸治療はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
鍼灸治療の頻度は、症状の程度や体質、生活習慣などによって異なります。一般的には、症状が急性の時期は週に2~3回、慢性期は週に1回程度の頻度で受けることが多いです。しかし、治療の効果や体の状態を見ながら、施術者と相談して最適な頻度を決めていくことが重要です。急激に症状が悪化している場合などは、間隔を詰めて集中的に治療を行う場合もあります。
6.1.2 鍼灸治療で悪化することはありますか?
鍼灸治療は、適切に行われれば安全な治療法ですが、まれに一時的にだるさや痛みを感じることがあります。これは好転反応と呼ばれるもので、体が治療に反応しているサインと考えられています。ただし、強い痛みや違和感などが続く場合は、すぐに施術者に相談してください。また、感染症や出血傾向のある方、妊娠中の方などは、事前に施術者に相談することが大切です。
6.2 セルフケアについて
6.2.1 セルフケアで悪化させる可能性はありますか?
セルフケアは正しく行えば症状の改善に役立ちますが、間違った方法や無理な姿勢で行うと、症状を悪化させる可能性があります。特に、痛みを我慢してストレッチをしたり、急に激しい運動を始めるのは危険です。
セルフケアを行う際は、自分の体に合った方法を選び、無理のない範囲で行うことが大切です。痛みが増したり、しびれが悪化したりする場合は、すぐに中止し、専門家に相談してください。
6.2.2 どのようなセルフケアが効果的ですか?
椎間板ヘルニアのセルフケアには、ストレッチ、正しい姿勢の保持、適度な運動などが効果的です。ストレッチは、硬くなった筋肉をほぐし、血行を促進することで、痛みやしびれの緩和に繋がります。正しい姿勢を保つことは、椎間板への負担を軽減し、症状の悪化を防ぎます。また、適度な運動は、筋力を強化し、体幹を安定させることで、再発予防にも効果的です。ウォーキングや水泳など、腰に負担の少ない運動を選びましょう。
6.3 手術について
6.3.1 手術が必要なケースは?
保存療法で効果が見られない場合や、神経症状が進行している場合、排尿・排便障害がある場合は、手術が必要となることがあります。具体的には、日常生活に支障が出るほどの強い痛みやしびれが続く場合、下肢の筋力低下が進行している場合、排尿・排便に障害が出ている場合などは、手術を検討する必要があります。手術にはいくつかの種類があり、症状や状態に合わせて適切な方法が選択されます。
6.4 その他
6.4.1 椎間板ヘルニアは再発しますか?
椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発しやすい疾患です。再発を防ぐためには、日常生活での姿勢や動作に気を付け、適度な運動を継続することが重要です。また、症状が改善した後も、定期的にストレッチや軽い運動を行い、体のメンテナンスを続けることが大切です。再発の兆候を感じた場合は、早めに専門家に相談しましょう。
6.4.2 どのくらいで治りますか?
椎間板ヘルニアの治癒期間は、症状の程度や治療法、個々の体質などによって大きく異なります。軽度の場合は数週間から数ヶ月で症状が改善しますが、重症の場合はより長い期間を要する場合もあります。また、手術を行った場合も、術後のリハビリテーションに時間を要することがあります。焦らず、じっくりと治療に取り組むことが大切です。
症状 | セルフケア | 鍼灸治療 |
軽度の痛み | ストレッチ、姿勢の改善 | 痛みの緩和、血行促進 |
しびれ | ストレッチ、温罨法 | 神経機能の改善 |
強い痛み | 安静、アイシング | 痛みの緩和、炎症抑制 |
上記は一般的な情報であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。症状が気になる場合は、専門家に相談することをおすすめします。
7. まとめ

この記事では、椎間板ヘルニアの症状や原因、そして治療法について解説しました。保存療法には薬物療法、理学療法、牽引療法などがあり、症状が重い場合は手術療法が選択されることもあります。自宅でできるセルフケアとして、ストレッチや日常生活での注意点(正しい姿勢、適切な運動、睡眠時の姿勢)をご紹介しました。
ストレッチは、椎間板への負担を軽減し、症状の緩和に繋がります。日常生活では、正しい姿勢を保つ、適度な運動を行う、睡眠時に適切な姿勢をとることで、椎間板への負担を軽減し、再発予防に繋がります。
さらに、鍼灸治療が椎間板ヘルニアに効果的なメカニズムやメリット・デメリットについても説明しました。鍼灸治療は、筋肉の緊張を緩和し、血行を促進することで、痛みや痺れの軽減に繋がります。セルフケアと鍼灸治療を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。具体的な組み合わせとしては、ストレッチで筋肉をほぐした後に鍼灸治療を受ける、といった方法が考えられます。
ご紹介したセルフケアと鍼灸治療を参考に、ご自身の症状に合った方法で椎間板ヘルニアの改善に取り組んでみてください。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
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